- 2015-12-10 (Thu) 14:03
- Diary
本日発売になりました『蜘蛛ですが、なにか?』(カドカワBOOKS)。
ダンジョン内でサバイバルを繰り広げる主人公は蜘蛛子さん、つまりは蜘蛛。私は実は、虫の絵がそこまで得意ではなく、今回の作画のお話を頂いて以来、暇があれば資料収集&虫絵の練習に充てておりました。
やっぱどの虫も実物が見たい。ただ、家の都合で外での取材の時間があまり取れず…。蜘蛛はともかくゲジゲジやハチはなあ、と悩んでいたところ、海外で、昆虫の専門家の方がやっている樹脂封入標本の通販なるものがあることを知りました。
よっし買うか!と思い立ったが吉日。その日のうちに通販の手続きを取ったのですが…。
いざ通販。やはり命あるもの、ポリシーに反するのでかなり悩んだ(やっぱ元々生きてた物だし…)のですが、お店の方は日本人の昆虫の専門家との自称だったので大丈夫&もろもろ配慮されているのであろうと、蜘蛛やらムカデ(ゲジはなかったので代用)やらハチやら、今後登場しそうな昆虫たちを網羅して、あれこれと通販の手続きを取って数日。先方から発送した荷物のEMSのコードを送っていただいたので、確認しながら待っていたのですが。
『通関保留』
なんかステータスがそんなことになっとる。加えて、通知書が発送された、というのに、待てども暮らせども届かない。慌てて私は、業者に問い合わせを送りつつ、海外通販を日常的に行っている弟に教えを請いました。これってどういうことなん?
「何か難しい品物通販したね」
…えっ?
どうも頼んだ荷物は税関で止まっているらしい。弟にアドバイスを貰い、東京税関に連絡。
税関に問い合わせたところ、以下の事実が判明。
- 荷物の内容一覧に、「タランチュラ」と記載があるので、原状通関出来ない。
- 加えて、内容一覧と内容が一致しない。欠品がある。
- 業者の書いた、荷物のEMSコードも間違っている。
- そのうえ、業者が書いた宛先住所が間違ってて、通知書も品物も届けられない。
('△')
ところで、ご存知でしょうか、動植物を国境またいで動かす時の約束事『ワシントン条約』。これには付随書I・II・IIIまでがあり、記載のある動植物の輸出入はこの条約により制限されます。この付随書IIにタランチュラの一部が記載されているのです。業者の書いた内容一覧には学名の併記がなく、該当か非該当かの判断がつかない。それが判明するまでは通関出来ない&万一付随書IIに記載のある種の場合は、輸出・輸入の両国から許可を取った上でないといけないのです(ちなみにIの場合はもっと厳しい。絶滅危惧種はこれに該当して、ほぼ移動が出来ない)。
結局、税関で担当についてくださった方がとても親切で、正しい住所に修正の上、通知書を再送&その後の対処法を教えていただきました。業者に学名を問い合わせ&経済産業省の担当部署に問い合わせ、該当しない種であり問題がないことを確認の上、税関に再度問い合わせ。
当時ものすごい忙しい時期だったので、大きく時間取られることにほんとヘコんで。加えて、荷物をやっと受け取ったものの、作業が次の段階に入ってて結局間に合わず、そのうえ出来がひどくて…。標本への傷はまだマシ、一部の昆虫は、中脚の基節から中脚と後脚、両方が生えてるという。破損した部分の修復の仕方、まちがっとる。自分ひとりで持っておくのは虫に申し訳ないので、写真撮ってフリー素材として使ってもらうと考えていたのですが、これではそれも出来ず。
結局、通販にかけたお金と同じ金額で、『原色日本クモ類図鑑』を買いました。
こちらは大変よいものでした。ちゃんと監修のされた資料がこの値段で手に入るって、素晴らしい。あと、今度から、道に死んだ虫が落ちてたら、まめに拾って自分で標本作ろうと心に決めました。
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