- 2011-10-31 (Mon) 00:18
- Diary
一風変わったギャング映画、『ゴモラ』を見てきました。ギャングとかマフィアというと、ちょびっと華やかなイメージがありますが、この映画はなんともどこまでも泥まみれ。
以下、ネタバレもありますが感想です。
ゴモラ
イタリア・ナポリ周辺の犯罪組織の集合体:カモッラの末端に関わる人たちを描いたオムニバス。
映画というよりは、実際に起こった出来事の録画を繋ぎ合わせたような、ドキュメンタリー仕立ての淡々とした一本。カモッラへの潜入取材を元にした『死都ゴモラ』(非アソシエイトはこちら)が原作なのだそうけど、映画で描かれているのはその底辺であがく人たちの話。生活に犯罪組織が根深く食い込んだ様子や、搾取され、あっけなく頭を打ち抜かれ、使い捨てられていく彼らを取り巻く悲哀はよく描かれているけど、自分はこれが野放しにされている事自体の方に疑問が。
また、映画の煽りの割には、なんだかスケールが小さいような…。犯罪組織の集合体と聞いてもっと大きな組織をイメージしていたけど、土地に根付いた小さな組織がお互い食い合いながら点在しているような、そんな印象。末端も食い詰めていれば上もまた食い詰めていて、凶暴になり手段を選ばなくなっている、そんな印象を受けました。
監督の方針のようなのだけど、リアリティがある代わりにテーマ性がすごく薄くて、出来事をただひたすら描いていく。説明も最低限しか無いので、映画の大枠がつかめるのは映画の後半、そこまではかなり退屈かも。人を選ぶ映画だと思います。イタリアの現状やカモッラについての知識があったほうが楽しめるんだろうなあ。
一部の登場人物の設定を最後まで間違えて認識したままだったことに、パンフレットを読んで初めて気が付きました('へ')
ただ全編を漂う無常感は好き。
追記
何か多分、プロモーションの方向性がちょっとズレてそうな…。世界最大級の犯罪組織!とか、ゴッドファーザーを超えた!とか、あとは日本国内の問題に絡めて宣伝をしているけど、それを見て抱いていたイメージとかなりズレていて(特に華やかさと規模感が)、ちょっとがっかりしてしまった。もっと泥臭いよなあ。